SHE'D LIKE TO DIE

あまくてにがい味ってなによ

「おはよう」も「おやすみ」も、「ごめんね」も「ありがとう」も

 

 

 

一日たりとも私のこと忘れないでいてくれたの、あなたくらいなんじゃないの。

 

毎朝目が覚めたら「おはよう」のライン。たまに「おはようまなちゃん」って名前もいっしょに呼ばれるのがちょっと嬉しかったりした。私がめんどうで無視してても何も言わずに夜になると「今日もお疲れさま」「おやすみ」のライン。たまに寝る前に電話したりして。「すきだよ」なんてオプションもつけてくれて。私のコンプレックスを刺激しない程度に「かわいいよ」って褒めてくれて。間違いなく私はしあわせだったけど。ずっとこのままだと思ってたけど。

 

 

喧嘩したときのあなたの「ごめんね」が死ぬほど嫌いだった。いかにもつらそうで、いかにも悲しそうで、私が悪者になる瞬間だった。でもね、あなたの自然な「ありがとう」が死ぬほど愛しかった。ほんとうにうれしそうに、ほんとうに無邪気に言うもんだから。私がたまにキスをしたら「あっキスしてくれた」「ありがとう」って笑うの。どこまでバカなの。きのう拒否されたこともう忘れたの?

 

 

恋人といえば恋人だし、恋人じゃないといえば恋人じゃない。そんな関係で、そんなちぐはぐな関係で、私は「大丈夫」って思ってたの。だって私も好きだったもん。あなたの好意を踏みにじってるつもりなんてさらさらなかった。見て見ぬふりをしていた自覚は、あるけど。

 

 

 

やっぱりこわいな、あなたのいないこれからの日々がこわい。あなた以上に好きになった人はたくさんいるけど、あなたほど失いたくない人が他にいないよ。泣きたくなったら、どうしたらいい?夜こわくなってねむれなくなったら、どうしたらいい?今まであなたの前でしかなれなかった「私」は、誰に見せたらいいの。

 

 

ほんとうは 「ごめんね」しか言えないのに、「ありがとう」しか言わなかった。

 

 

今の私の状況を見たらきっとあなたは「ずるいよ」って言うんだろうな。だって振られたのはあなただもんね。あなたのほうがつらいはずなのにね。あなたの涙を無視して感傷に浸る、ばかな女だよ。

 

 

「もっともっと愛してよ」って言ったらあなたは笑ってたね。「俺以上にお前を愛せる人なんてどこにいんの」って。「いるもん」って言ったけど、いないね。いなかったね。

 

 

ずるい人間で、ばかな女で、ごめんね。またいつか、愛してね。

 

 

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